離婚後の生活(親権について)

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離婚後の生活(親権について)

親権・監護権とは子供が健全に育つ為に課せられた親の義務と権利
婚姻中であれば父母が共同して行います(共同親権の原則)。
子供にとっては父母双方と密接な関係を維持することが最善の利益になるため、父母双方が子供の養育の責任を負うということです。

親権とは(親権者)

民法第819条1項では
「父母が協議上の離婚をする時は、その協議で、一方を親権者と定めなければならない」
と定められています。
親権とは平たく言えば親の権利のことで、父母が未成年の子を一人前の社会人(20歳になるまで)となるよう養育するために子を監護教育し、子の財産を管理するため、その父母に与えられた身分上の権利・義務の総称です。
その親権を行う人が「親権者」です。
親権者となれば子供に関すること全てを別れた相手方に相談する事なく決められます。
親権は、法律的には財産管理権と身上保護権から成り立っています。
・ 財産管理権-未成年の子の財産を管理し、法的手続きの代理を行う権利・義務
・ 身上保護権-子供の身の回りの世話、躾けや教育をする事に関わる権利・義務
※子供の親権者が夫婦間で決まらなければ、協議離婚は成立せません。

監護権とは(監護者)

民法820条では
「子供の日々の世話や教育全般を行なう身上監護権」
と定められています。
親権の一部で教育・保護つまり一緒に住んで子供の身の回りの世話、しつけや教育をすることに関わる権利・義務のことです。

親権者と監護権者を分けた場合

離婚する場合、親権者を決めれば監護権もその中に含まれますので、父母のどちらか一方となりまが、親権者と親権者と監護権者を父母で分けることが子の福祉のために有益の場合は、父母で分けることが可能です。
その場合は、監護権者が子と同居し教育や養育をしますが、子の財産管理や法的な手続は親権者が決めることになります。
そのため親権者が養育費を支払い、財産管理や法廷代理人となります。
一方、監護権者は親権を持たなくても、子供と一緒に暮らし、身の回りの世話、しつけや教育を行う事になります。
その場合の権利義務関係は以下の様になります。

●親権者のみ

 親権者のみ 子の財産管理権+身上保護権
未成年の子の財産を管理し、法的手続きの代理を行う権利・義務
子供の身の回りの世話、躾けや教育をする事に関わる権利・義務

●親権者と監護権者を分けた場合

親権者 子の財産管理権
未成年の子の財産を管理し、法的手続きの代理を行う権利・義務
監護権者 子の身上保護権
子供の身の回りの世話、しつけや教育をする事に関わる権利・義務

※お子様にとって一番良い方法はどの方法かを考えて決めましょう。

親権も監護権もないと親子ではなくなる?

親権者になれなくても親権を行使できなくなっただけで、親権自体はなくなりません。
そのため、親権や監護権を行使できなくなっても、>親子であるということに変わりはありませんし、子と会う権利(面接交渉権)や子を養い育てる義務(扶養義務)もあります。

離婚時に親権者・監護者を決める

親権者も監護者も協議離婚と同様、夫婦の話し合いで決められます。
ただし、合意の結果を記載する欄には親権者はありますが、監護者の欄はありません。
協議離婚で親権者と監護者を分ける場合は、後のトラブルを避ける為、合意書を作っておいた方がよいでしょう。

子供の年齢が大きなポイントに
一般的には、子供が0~10歳の間は衣食住に関して面倒を見る事が必要なため、母親が親権者になるケースが多いようです。
15歳を過ぎれば自分で判断できる年齢であるとして、裁判所は子供の意思を尊重します。
子供が成人に達していれば、親権の問題は関係ありません。
また、20歳未満でも結婚していれば親権者の指定は必要ありません。

親権者を決める判断基準

親権者を決める基準として法律で定められているものは「子の利益」という事です。
これは、子供が健全に年齢に応じた精神的・肉体的成長をする為には、どちらの親が親権者となる事が、子の為に適切かということです。

親権者を決める基準も子の環境がポイント
裁判例を具体的に見ると、次のような点を見て判断しています。
1. 親の監護能力、心身の健全性
精神病や、重い持病があるなど
2. 親の居住環境・家庭環境・教育環境
どちらの親の方が子供の為に利益になる環境を提供できるか、逆に子供の成長のため
によくない環境があるかないか
3. 子供に対する愛情・子供を育てる意欲
4. 親の経済状態
裕福であればよいというだけではなく、子供の養育に支障があるかどうか
5. 子供の年齢
年齢が低い程、母親が親権者とされやすい
6. 子供の意思・親との結びつき
審判・裁判の場合、子が15歳以上であれば家庭裁判所は子供の意思を聞かなければ
ならない
7. 子供のこれまでの居住環境・適応能力
これまでの環境に問題があるか、環境を変えても子供が適応できるか
注意すべきは7の点です!

例えば、貴方が子供を家に残したまま家を出て、そのまま数年間が経ち、その後、離婚調停等で親権者を決めるような場合です。
その様な場合は、子供が残された環境で問題なく成長できていれば、その事実が相手方を親権者と認める要因となる可能性が高いということです。

母親が親権を取りたい場合
母親が親権者となりたい場合、上記4の点も心配になると思われますが、定職があり、そこから母子が生活できる程度の収入があれば、収入が夫より少ないことだけを理由に親権者となれないということはありません。
また、母親の両親・兄弟などから同居その他の援助が受けられる場合には、経済状況や環境などの判断で、その点も合わせて母親側の事情として考慮されます。
当然ですが、父親が支払う養育費も考慮されます。

親権者の決め方は離婚方法で異なる

協議離婚の場合
原則的には夫婦で話し合う
離婚届の記入欄に記入して、提出する
決まらなければ、家庭裁判所に申し立てる

調停離婚の場合
離婚の調停と同時に行う
調停で決まらなければ、審判、または裁判
子供が15歳以上ならば、子供の意思を聞く

裁判離婚の場合
裁判所に親権を決めてもらう
子供が15歳以上ならば、子供の意思を聞く

子供が複数いる場合の親権はどうなる?

未成年の子供が複数いる場合、兄弟姉妹が分離される事によって子供たちの人格形成に大きな影響を与える事が心配されます。
そのため、一方の親が全員の親権者になる事が、裁判では原則とされています。
ただし、やむを得ない理由がある場合、また、子供がある年齢に達している場合、親権を分ける事もあります。

母親が妊娠中に離婚した場合の親権はどうなる?

母親が自動的に親権者になりますが、出産後に父母の話し合いによって、親権者を父親にする事も可能です。

親権者・監護者の変更方法

・ 親権者変更の理由
1.親権者の死亡、行方不明
2.親権者の長期入院、海外への転勤
3.親権者の養育意欲がない
4.子供の生活上の不便、子供の意思
5.親権者として不適切事情(暴行虐待、破産宣告、性的不品行等)
・ 親権者変更の手続き
1.裁判所に「親権者変更」の申し立て
認められたら
1.調停調書・審判書の謄本を、市区町村役場の戸籍係に提出
2.子供の親権者欄を書き換える
・ 監護者の変更
監護者の変更は届出の必要はありません。
親権者と従来の監護者の間の話し合いのみで変更する事ができます。
市区町村役場への届け出の必要はありません。 話し合いがつかないがどうしても変更したいという場合には、親権者の変更と同じ手続きをとることになります。

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